2015年3月2日月曜日

育成に目を向けた試合形式や総合性。考えられないU-15カテゴリー試合レベル /2014スペインフットサルの旅



リバス・アトランティス各カテゴリーのフットサル試合観戦


セゴビア・フットサル(元カハ・セゴビア)と提携しているクラブであるリバス・アトランティス。昨季のインテルU-13の監督や選手たちがこのクラブに移籍した。彼らがU-15世代で、どれだけ成長しているのか見たかった。

会場に到着、そのU-15の選手たちの親に遭遇。久々に会えたことに興奮しながら握手やハグを交わした。試合や練習に何度も帯同させてもらったことで、彼らに受け入れてもらえた。

その後、観客席に行くと選手たちがいた。一回り大きくなっている彼らに驚いた。今日はとても大切な試合だと言う。なぜなら今日の対戦相手はカルニセール・トレホンという有名なクラブであり、ここで負けたほうが優勝前線から脱落するためだ。


今更で未熟ながらもスペインで学んだ挨拶


「じゃあ負けられないね」
と声をかけると
「当然!でも難しいだろうね。勝てるかどうかはわからない。とにかく頑張るよ!」
ダニはそう言った。彼はU-13で全国準優勝、U-11で全国優勝という結果を出し、各年代マドリードの選抜に入っている。彼はいつも自ら堂々と挨拶をしにきてくれる。いつも地に足をつけた発言をする。

スペインで行われている挨拶では、会えた喜びを表したり興味を示したりする。そこには想いや感情がある。握手やハグ、抱擁が伴う。この文化が大好きだ。僕はこの文化を体感し挨拶の価値観が変わった。挨拶には感情がこもっていないと意味が無い。挨拶で自ら感情を伝えられる人は良い選手になると思っている。


形式にとらわれすぎずに選手育成に目を向けた試合形式


U-13カテゴリーの試合から始まりU-11、U-15。どのカテゴリーも正規のコートサイズで行う。U-11と13は25分ハーフのランニングタイム、協会から派遣されてくる審判は一人でオフィシャル担当はいない。U-15は20分のプレイングタイムで審判とオフィシャルが一人ずつ。形式にとらわれすぎずに選手育成に目を向けている。どうしても日本だとこの辺りが硬くなってしまい形式的になりすぎる印象がある。

着いた時にはU-13の試合が行われていた。
試合展開が早い訳でもなく技術的に目立つものもない。見ていて面白い試合ではないが、点を奪うための駆引きをしっかりと行っている。自分たちのペースで組み立てながら自分たちのペースで守備をする。


U-13の試合の後は、U-11の試合。
彼らは既にボールのないところで駆引きをしている。相手を引き出そうとしたり相手を騙そうとする雰囲気が、この年代からある。まだ最適な駆引きとは言えないけれど、そこは大切ではない。前に進むこと、それだけに夢中になっていない。かなり拮抗した試合でU-11といえど見ていておもしろい。最終的にリバスが勝利した。


小学生だからこそ総合的に育成していく大切さ


日本のU-12カテゴリーだと、正規のサイズよりも狭いサイズを好む監督がいる。正規のサイズを知らずにフットサルを導入している監督もいる。それはサッカーのためのフットサルであるから。狭いほうが技術の習得に良い影響を与えると日本で聞いたことがある。

足元の技術をだけ磨くことは、それだけで打開しようとする習慣が身についてしまう。守備の能力があまり高くないような小学生カテゴリーでは通用する(本当は守備のコンセプトも小学生から身につけていかなければならない)。歳をとるにつれて、それでは打開できなくなる。それが中学生なのか高校生なのか。そこから戦術やそれに必要な要素を身につけていたようでは世界に遅れをとる。

そのような育て方は駆引きの成長を乏しくさせる。フットサルやサッカーをするためのクリエイティブな選手が育たない。小学生という多感な時期に伝えなければならないことは技術だけではなく、フットサルでありサッカーである。習得が早いこの時期から総合的に伝えていかなければ大人になった時、フットサルの経験値に大きな差がでてしまう。

そして、なかなか正規のサイズでやれない日本の環境は、選手たちには過酷だと思うことがある。どんどんと難しい状況が選手たちを襲う。考える時間が少ない、考える時間を持つためのスペースの絶対数が少ない。少しでも技術的ミスが発生すれば失敗に終わる可能性が高い。しかし、うちのクラブFutsal Clube UNIAO(ユニアオ)の選手たちは難しいことにも負けずに楽しみ、頑張る。そんな姿勢に尊敬している。

ユニアオでは選手たちに過度な技術を伝えない。戦術をベースにして技術を習得する。最低限の技術が身につけば、相手や仲間がいる状況で練習する。そうでないと結局、フットサルのための技術とならない。試合中にインサイドパスを失敗したからといって、相手のいない対面パスの練習をしても意味のないことがある。試合中のパスミスの裏には様々な要素がある。相手がいることや試合であることによる心理的プレッシャー、ボールを持っていない時に自分がボールを持って駆け引きする時間を作り出せていない、相手の居場所を間違って把握している、など。技術的エラーの裏には、戦術的、精神的、身体的なエラーが潜んでいる。


まだ中学生だろう、こんなふうに戦えるのか


最後に行われたのはU-15の試合。このチームに知り合いの監督と選手がいる。昨シーズン彼らがいたインテルU-13は、バルセロナに負けて全国準優勝。スペイントップレベルにいる子供の成長を追うことは大きな参考になると思っている。監督はホセレ。先日、日本に来てサッカークリニックを行ったようだ。

「日本食はとても美味しかった。大好きだ。毎日寿司を食べていたくらいだ。日本の選手は速くて真面目で、とても良い印象だった。考えてプレーすることは少し足りていなかった」
「いつでもここに来い。このクラブはどのカテゴリーもレベルが高い。Yukiのクラブを連れて来い。いつでも大歓迎だぞ。」
是非スペイン遠征をしてみたい。僕のクラブの各カテゴリーがスペイントップクラスのチームと試合をしたらどういう感じになるのだろう。

試合が始まった。立ち上がりから両チームの激しい攻防。考えられないレベル。各選手の能力やチーム力の高さ、選手たちの立ち振舞いや精神力、レアル・マドリードU-15の試合を見た時と同様にここでも驚いた。まだ中学生だろう、こんなふうに戦えるのか、スペインの中学生はなんなんだ。さっき話をしたダニはU-15の1年目とは思えない活躍、チームの中心だ。昨年の彼とはまた、ひと味もふた味も違うプレーだった。リバスはカルニセール相手に点差を離していく。しかし後半に入りカルニセールが意地を出し始めた。パワープレーで点差を縮める。しかし最終的に、リバスが粘り勝利をもぎとった。

彼らの成長に驚き、この試合に驚いた。久しぶりに感じたスペイン独特の会場の雰囲気。何度見ても驚きや興奮がある。何度味わっても最高だ。