インテル・モビスターの空気を吸う
インテルの練習場であるカハ・マドリードに来た。来る途中のバスはストライキの影響で本数が少なくなっていた。ギュンギュン詰めの状態で約45分。本来なら停車してお客さんを乗せなければならないところも通過していく。通過されたお客さんは、いつ乗ることができるのだろう。インテルの町、アルカラ・デ・エナーレスを観光してから練習に向かった。
ここ、カハ・マドリードはスペインに住んでいた頃に毎日のように通った。インテルの練習に入れてもらえるのは大変ありがたいこと、でも、苦しくもあった。彼らは友達のように接してくれるのに、僕には尊敬の念が強すぎる。そのインテルの雰囲気の中で、自分が自分でいることは僕にとって大変だった。空気を吸うだけでも成長につながる、そう信じて毎日来た。
久々に会うみんな。僕が来たことに驚き、名前を呼んでくれる。そんな風に覚えていてもらえて嬉しかった。そして今回もピッチレベルで練習を見ることができた。僕が着させてもらえるクラブウェアも今はなくて難しいという話もでたが、ホペイロのセシージョに相談し服を探してもらった。そしてセシージョには、ホペイロの仕事を色々と説明してもらった。練習の準備や練習に使うものの管理。チームのものから個々の選手のものまで、管理の流れを教えてくれた。
選手たちと着替えてコートに出る。この日は練習前にディレクトールの話があり、それから練習に入った。改めて、みんなゴツイなぁと感じた。
ウォーミングアップ
みんなでコートの外周を走ってからストレッチ。その後チューブを使った運動をして、関節を各自で動かす。
ボールを使ったアップ、フィニッシュの練習。
練習に入っていく流れは去年と変わっていない。一つのゴールで行う。ハーフライン辺りで3人が横に並ぶ。あるサイドの選手(A)から真ん中にいる選手(B)に出す。Bはコントロールで方向転換し運ぶ。その間に逆サイドにいる選手(C)は縦に抜けるフェイントをしており、ボールを持っているBがCと壁パスをしてシュート。
その次、壁パスを行わずフェイントしたCがコントロールオリエンテッドで中に入りパスをしたBはクロスを行う。Cはシュート、もしくは足の裏でBにパスをしてBがシュート。彼らは狙ったシュートであっても強く蹴れる。キーパーがいかつい。(10分)
コーナー
3チームに分けて、一チームが守備をしてその他のチームがそれぞれコーナーを順に蹴る。片方のゴールで行う。
守備はキッカーに対してY字になっている。先頭の2人、ゴールラインから遠くの選手がどこまでマークに付くのか、どこで離して次のマークに付くのか。ブロックは抜けなければならない。その選手が積極的に相手を先行している。
そのタイミングを監督のヘスス・ベラスコは話していた。(10分)
4対4+両キーパー /プレス回避
キーパーから開始。4-0のシステムの真ん中の選手にキーパーはパスを出し、もう一人の真ん中の選手はゆっくり抜けていく、必要であれば強く。抜けた選手側のサイドにいる選手は、その間にフェイントをして足でパスを受ける。コントロール・オリエンタード。そこから通常の4対4開始。それまで守備は付いていくだけ。
ヘスス・ベラスコは、自陣から抜け出し相手陣に入ったら相手に立ち向かえと何度か言っていた。(20分)
4対4+両キーパー /相手陣守備
さっきのメニューと違うのは守備の一枚目のラインを少し下げて行う。それ以外には制限がない。
一回戦の相手はエントレリネアス(ライン間プレー)もしくはディアゴナル(対角線)を頻繁に突いて来るので、マークの交換をする第一線の守備選手はフロタシオンをしながらとどまるようにと、ヘスス・ベラスコは伝えていた。相手にピヴォがいるかどうかなどを把握するために、後ろを見なければならないことも言っていた。第二監督のチチョは選手にもっと話すことを要求していた。(25分)
パワープレー
一つのゴールで行い、ボールがコートの外へ出たら攻守が変わる。
守備の選手に対して、リスクが冒せないのは理解できるのだがそれでも守備のアタックを行うよう要求。守備の時に2人見ろという声がよくかかっていた。
ストレッチ
カルロス・オルティスが教えてくれた今年のチーム
駅までは、カルロス・オルティスが車で送ってくれた。今日の練習と去年の練習では雰囲気が違った。選手同士が話している場面を去年より多く見た。より競い合っている感じがした。
「とても良い感じでチームは練習に取り組めている。」
「リーグで勝ち続け、仲間同士とても信頼しあっている。そして今季の補強が良かった。これで今週末から始まるスペインカップがどうなるか。ただチームは順調だ。」
カルロスはそう言っていた。一人一人が高いインテンシティを持って練習に取り組み、仲間に要求をする。そして去年と明らかに違うものがある。それはリカルジーニョがいることだ。
彼は今シーズン、名古屋オーシャンズからインテル・モビスターに加入した。スペインでフットサルをやること、インテルでプレーすること、それを本当に楽しんでいるようだ。とても新鮮そうだ。水を得た魚のよう。彼のキャラクターがインテルを最強軍団と化したのではないかと思う。昨シーズンもインテルは素晴らしい選手とスタッフで充実していた。しかしリカルジーニョほど活き活きとプレーする選手や仲間と話す選手はいなかった。今はスター軍団がひたむきな態度で練習に取り組んでいる。スペインカップは優勝するだろう、そう感じた。